TMJスプリントとは?
TMJスプリント(バイトスプリントまたは咬合スプリントとも呼ばれます)は、**顎関節症(TMJ)**に伴う症状を緩和するために設計された、特別な歯科用器具です。
TMJは、下顎(下顎骨)と頭蓋骨の側頭骨をつなぐ関節で、咀嚼、発話、あくびなどの動きを可能にします。この関節に問題が生じると、顎の痛み、頭痛、耳痛、顔面痛、口の開閉困難といった症状が現れます。
TMJスプリントは、硬質アクリルなど耐久性のある素材で作られ、患者様の歯にぴったりフィットするようカスタム製作されます。主に顎を安定させ、TMJへの負担を軽減し、症状を緩和するために使用されます。夜間、日中、または両方で着用するケースもあります。
TMJスプリントの役割
TMJスプリントは次のような機能を持ちます:
- 顎関節と周囲の筋肉への負担を軽減し、痛みや不快感を緩和
- 歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばりによる損傷から歯を保護
- 力を均等に分散し、TMJと顎周囲の構造への圧力を軽減
- 顎の正しい位置をサポートし、可動性と機能を改善
TMJスプリントは、理学療法・薬物療法・ライフスタイルの改善などと組み合わせ、総合的な治療プランの一環として使用されます。
TMJスプリントを装着したまま会話できますか?
はい、TMJスプリントを装着したまま会話は可能です。
ただし、最初は口内の異物感に慣れるまで少し違和感を覚えることがあります。特に特定の発音や単語が発音しにくく感じる場合がありますが、ほとんどの方は短期間でスプリントを着用したまま自然に話せるようになります。
慣れる速度は、スプリントのデザイン、フィット感、口腔構造、TMJ障害の重症度など、個人差によって異なります。もし強い違和感や発音障害が続く場合は、歯科医師に相談してスプリントの調整を行うことが推奨されます。
TMJスプリントは噛み合わせを変えますか?
TMJスプリントは噛み合わせに影響を与える可能性があります。
使用方法や使用期間によって、次のような変化が起こる場合があります:
- 短期的な噛み合わせの変化:スプリント装着中、顎の位置が調整されるため、一時的に噛み合わせが変化することがあります。ただし、スプリントの使用を中止すると元に戻る場合がほとんどです。
- 長期的な噛み合わせの変化:長期間にわたって使用すると、顎と歯の配置が恒久的に変わる可能性もあります。これは、不正咬合や顎関節への負担軽減を目的とした場合、望ましい結果とされます。
噛み合わせに対する影響を適切に管理するためには、定期的な歯科医師のフォローアップが不可欠です。